ブローバラヴァーで口論勃発(笑)! わかっちゃいたけど“背景”ありすぎっ!ブローバはやっぱり語らずにはいられない! 長く愛せる時計が欲しいなら、確固たる背景を備えたモデルを選ぶのが正解。ならば、語りどころ満載の「ブローバ」は絶対間違いのない存在です。なかでもとくに“買い”のモデルを、ファンを自認する二人で選出しました! ライター 吉田 巌さん 「米国時計史はそのままブローバの歴史!」 服、靴、鞄、そして時計が主なフィールド。バーゼルなどスイスの新作時計展示会への取材経験も豊富。ヴィンテージな時計が大好物。 Begin編集部 セキグチ 「お値段以上の価値を体現するのがブローバ」 新人時代から時計を担当。人生を賭したデイトナ以外、時計はもっぱら語れるセカンドウォッチ狙い。超個性的、クセすご時計が大好物。 左/発明家でもあった創業者ジョセフ・ブローバ 右上/1941年に世界初のテレビCMを放映 右下/NY市では10/4をブローバの日に制定 そもそもブローバとは“革命が社是”のようなブランドである 1875年に米国ニューヨークで創業したブローバの歴史は数多の “革新”で彩られる。世界初の音叉式電子腕時計の開発やNASA宇宙計画への多大な貢献などはほんの一例。なお時計界初のラジオCM、世界初のテレビCMを行ったのもブローバだ。 ミリタリー、ダイバーズ、デジタル、ドレス、スケルトン……etc.すべてに物語がありすぎる! 覚えるべきブローバの主要コレクション アーカイブスシリーズ : 同社の名作をアップデートした復刻モデルが揃う クラシック コレクション : 時代を超える美しさを湛えたドレス系が豊富ミリタリー コレクション : 米軍に供給した本物の軍用時計の遺伝子を継ぐカーブ コレクション : 湾曲したクロノグラフムーブメント搭載の高機能モデルマリンスター コレクション : 高気圧防水ながらラグジュアリーなデザインで人気 どのモデルを選んでも、その革新的歴史を堪能! めちゃ高見えするマリンウォッチとして只今大人気の「マリンスター」。 こちらは7時位置のテンプをチラ見せした自動巻きモデルの新色だ。ケース径45㎜。SSケース。6万3800円。 セキグチ : ブローバっていろんなジャンルの時計を手掛けていますよね。この節操のなさも好きなんですが(笑)。 吉田 : わかってないなぁ、セキグチは。ブローバはいろんな分野で時計界に革命を起こし続けてきたブランド。多彩な時計があるのは当然でしょ? そもそも、富裕層の贅沢品だった腕時計を誰もが手の届く価格にしたのも、ブローバの革命と言えるんだ。 セキグチ : へぇー、それは初耳。 吉田 : ここは米国で時計を生産する一方、いち早く1921年にスイス・ビエンヌに時計製造・組立工場を設立。そこで業界で初めて部品の規格化を促進して品質の均一化と量産化を叶え、結果、時計の価格を一気に下げてみせたんだ。 セキグチ : ブローバは品質に比して価格が驚くほど手頃なことで有名ですが、そんな初期からの伝統とは。 吉田 : 今バカ売れ中の「マリンスター」なんて、これぞ今どきのラグジュアリースポーツという顔立ちじゃない? なのに10万円を大きく割る価格。そりゃあ売れないはずないよ。ちなみに自分はダイバーズ系なら「オーシャノグラファー」のほうが好みだけど。 ‘70sデザイン自慢 左/96B350オーシャノグラファー96B350 “デビルダイバー” ケース径:41mm 値段:8万2500円 右/97C110 コンピュートロン ケース径:31.1×40.3mm 値段:4万1800円 セキグチ : 300フィート(約90m)防水が主流だった’70年代に、666フィート(約200m)防水を実現し、666が旧約聖書の悪魔の数字であることから“デビルダイバー”の異名をとったモデルの復刻モデルですね。 吉田 : そう。当初レギュラーモデルは44mmの大ぶりなケースしかなかったけれど、のちに41mm径が追加され日本人にぴったりのサイズ感に。中でも個人的なおすすめは新作として登場したオリジナル同様のビビッドなオレンジ文字盤。より’70年代テイストが高まっていてカッチョいいんだよなぁ。 セキグチ : 70’sデザインだったらボクは「コンピュートロン」を推しますけど。当時の最先端のLED技術をアピールするかのように、ケースも猛烈に前衛的に造形。デザインプロダクト好きは見逃せません。 吉田 : 昔のSF映画の小道具みたいなデザインはたしかにコレクション価値があると思うけれど……。コレ服に合わせにくくないか? セキグチ : 意外とファッションのハズしにイイんですよ。とくに最近流行りのオーバーシルエットな服とは好相性♡ そのあたりの妙、オヤジ世代のブローバファンだとちょっとわからないかもしれませんが。 吉田 : なんだよその言い方は(怒)。じゃあセキグチは、ブローバのミリタリー系だったら何を推すんだよ。 セキグチ : 吉田さんは? ミリタリー自慢 左/98A266 ミルシップ ケース径:41mm 値段:8万8000円 右/96A246 ミリタリー ケース径:38mm 値段:4万2900円 名作A-15 吉田 : じつは前々から、米空軍に供給した名作パイロットウォッチ「A-15」の復刻版を狙っていたんだけど、今年さらに希少な「ミルシップ」というモデルが出たんだよね。これまた当時の仕様をそのまま再現してるらしく、じつにソソる仕上がりなんだよ。 セキグチ : 知ってます。たしかにあのモデルの再現度はすごいですね。現代のサファイアガラスでわざわざ当時のぷっくりしたドーム型風防を再現してるのは驚きました。 吉田 : ケース径に比してストラップがちょっと狭いのもレトロでいいんだよなぁ。いかにも初期のミッションダイバーズといった感じで。 セキグチ : ミリタリーなら、’50年代後半から’60年代にかけての米軍供給モデルの末裔である「96A246」はどうです?小ぶりな38mmケースはビギンがずっと推してきたチビミリの模範的バランス。 吉田 : ぶっちゃけ、似たようなチビミリは他からも出てるじゃん。 セキグチ : そうなんですけど、ちゃんとした自動巻きムーブを積んでいるもの、さらにこういうオフ白の文字盤って意外と少ないんですよ。ミリタリーだけどソフトで優しげな雰囲気もあるというか。そもそも名門ブローバだけに、いちいち質感が高い。これが4万円ちょいなら相当狙い目だと思いますよ。 吉田 : そう言われるとこのオフ白文字盤のチビミリ、ジャケットスタイルに合わせたくなってきたな。 セキグチ : ある意味トラッドな顔立ちですから、スーツにも合うんじゃ? 色気自慢 左/96B374 クラシック ケース径:41mm 値段:4万8400円 右/96A205 カーブ ケース径:44mm 値段:13万2000円 名作アキュトロン 吉田 : スーツに合わせるならドレスな顔立ちの「クラシック」だな。このデザインはジェット旅客機が主流になりつつある’60年代、米国のビジネスエリートに人気を博した「エアロジェット」モデルから着想。センターのクロスラインやボックス風防がレトロでいいし、ブルーグラデの文字盤でモダンな色気を感じせるのがよくない? セキグチ : 色気なら手首のカーブに沿うよう官能的な湾曲ケースが与えられた「カーブ」が最高ですよ。 吉田 : ああ、ケースに合わせてクロノグラフムーブメントまでカーブさせちゃったヤツね。 セキグチ : ハーフスケトルン文字盤からそのムーブメントを覗かせてるのがまたセクシー。バーで隣の女性との会話のきっかけにならないかな(笑)? 吉田 : ちなみにブローバはスケルトン時計の走りなんだよ。60年に発表した世界初の音叉式電子時計の「アキュトロン」ですでに内部機械を露出したモデルを発表してる。 セキグチ : あ、たしかに! いやホント、ブローバって語りところ満載だな。 吉田 : 長く付き合える時計が欲しいなら、デザインやメカのよさに加えて、ブローバのようにしっかりした背景を備えた時計がベスト。 セキグチ : そこだけは激しく同感です! 紹介したブローバの主要モデルをおさらい [アーカイブスシリーズ] 96B350 オーシャノグラファー “デビルダイバー” 1970年代の名作ダイバーズを復刻したシリーズの新作。小ぶりのケースやビビッドなオレンジ文字盤など、よりオリジナルの面影が濃厚に。ラバーストラップもシリーズで初採用。 ISO規格200m潜水用防水。自動巻き。SSケース。ケース径41mm。8万2500円 [アーカイブスシリーズ] 97C110 コンピュートロン デジタル時計の黎明期にプローバが放った、斬新で型破りな台形ケースの伝説モデルを忠実復刻。ケース前面の傾斜部にセットされたLED表示は、クルマやバイク運転時の視認性もなかなか高いのだ。 クォーツ。SSケース&ブレス。ケース径31.1×40.3mm。4万1800円 [アーカイブスシリーズ] 98A266 ミルシップ 1957年に米海軍潜水実験隊の要請で僅か数本のみ試作した幻のモデルを、初めて市販化。6時位置にはケース内が高湿度になったときに色で知らせるインジケーターを装備する。 20気圧防水。自動巻き。SSケース。ナイロンストラップ。ケース径41m。8万8000円。 [ミリタリー コレクション] 96A246 ミリタリー 1950年代後半から’60年代にかけて米軍に納めた「3818-A」のデザインを踏襲しつつ、スペックを現代的に。もちろん軍用時計に必須のハック機能や、暗い環境でも視認性を確保する蓄光の針&インデックスはそのままだ。 自動巻き。SSケース。レザーストラップ。ケース径38mm。4万2900円。 [クラシック コレクション]96B374 クラシック 1960年代の人気コレクション「エアロジェット」からインスパイア。ボックス型風防、美しいグラデカラー、そしてブローバの旧ロゴと、’60年代的エレガンスに満ちる。9時位置に24時間計を装備。 自動巻き。SSケース。レザーストラップ。ケース41mm。4万8400円 [カーブ コレクション]96A205 CURV 快適な装着感のためにケースをカーブさせた時計は多いが、こちらは搭載するクロノグラフ・ムーブメントまでグイッと湾曲!ハーフスケルトン文字盤ゆえそのメカも鑑賞できる。 ハイパフォーマンスクォーツ。SSケース&ストラップ。ケース径44mm。13万2000円。 ※表示価格は税込み 写真/若林武志 文/吉田 巌(十万馬力) 96B350 Archives Series Oceanographer “Devil Diver” ¥82,500 (税込) 97C110 Archives Series Computron ¥41,800 (税込) 98A266 Archives Series MIL-SHIPS ¥88,000 (税込) 96A246 Military ¥42,900 (税込) 96B374 Classic ¥48,400 (税込) 96A205 CURV ¥132,000 (税込)